著者
髙橋 護 谷 万喜子 鈴木 俊明
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.22-27, 2016-01-20 (Released:2016-05-27)
参考文献数
13
被引用文献数
1

【背景】我々は集毛鍼刺激を用いた鍼治療で臨床的効果を得ているが,その神経生理学的機序は明らかでない。 今回,2分間の集毛鍼刺激が筋緊張に与える影響を検討するために H 波を用いて検討した。【方法】健常者18名を対象とした。集毛鍼刺激前後に脛骨神経刺激によるヒラメ筋 H 波を導出した。集毛鍼刺激はアキレス腱付着部に2分間刺激した。得られた波形から振幅 H/M 比を算出し,集毛鍼刺激前後で比較した。【結果】振幅 H/M 比は,安静時と比較して刺激中に有意な低下を認めた(p < 0.05)。全員が安静時と比較して集毛鍼刺激中にヒラメ筋振幅 H/M 比の低下を示した。【考察】集毛鍼刺激は抑制性介在ニューロンを興奮させ前角細胞の興奮性を低下させたことが考えられた。集毛鍼刺激は筋弛緩を誘導ができる可能性が考えられた。【結論】アキレス腱付着部への2分間の集毛鍼刺激はヒラメ筋に対応する脊髄神経機構に刺激中に抑制効果をもたらすことが示唆された。