- 著者
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鯨井 隆
- 出版者
- 一般社団法人 日本臨床神経生理学会
- 雑誌
- 臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.4, pp.210-215, 2012-08-01 (Released:2014-08-30)
- 参考文献数
- 21
経頭蓋磁気刺激法TMSはヒトへの応用が開始されて約30年近くが経過した。刺激からの脳内誘導電流を介して大脳皮質のI-waveを中心とした興奮性評価や機能解剖学的結合, 可塑性誘導法, 治療応用学的な研究などの進展が目立つ。こうしたTMSの基礎的背景には動物実験などによる大脳皮質内錐体細胞の機能解剖や神経細胞の膜生理学的研究, 数理科学的な研究などがその土台と成っており, 新しいTMSの手法を通してミクロとマクロの融合的視野での理論構築を目指す方向性となっている。今後は, 脳機能のblack boxは総体的なネットワークの視点から高次脳機能学的ならびに治療学的臨床応用の基礎研究が進んでいくものと期待できる。