著者
鶴島 瑞穂 斉藤 孝信
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.58-85, 2018

「東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査」は,国民の東京大会への関心や意識・価値観の変化などを把握し,2020年に世界最高水準の放送・サービスを実現する上での基礎的なデータを得るために実施する時系列調査であり,今回はその2回目の調査となる。東京開催の評価(よい+まあよい)は87%と多数を占める。東京オリンピックへの関心度(大変+まあ)は80%と高いが,リオデジャネイロ大会直後の前年調査と比べ,「大変関心がある」は減少(34%→27%)した。関心事では「日本人や日本チームの活躍」が78%と最も多く,「世界最高水準の競技」(42%)や「各国のメダル獲得数」(17%)を上回った。東京パラリンピックへの関心度は61%であった。伝えるべき側面については「純粋なスポーツとして扱うべき」が39%で最も多く,前年(37%)から増加した。「障害者福祉の視点を重視して伝えるべき」は5%であった。障害者スポーツのイメージでは「感動する」(63%)が最も多い。「感動する」と答えた人の割合を障害者スポーツの視聴経験別に集計すると,「テレビの競技中継を見たことがある」人では82%,「ニュースや競技中継以外のテレビ番組で見たことがある」人では77%,「テレビのニュースで見たことがある」人では70%と高い一方,「見たことはない」人では38%にとどまり,視聴経験が豊富になるにつれて理解が深まることがわかった。期待する放送サービスでは,見逃し配信(40%→44%)やインターネット同時配信(29%→38%)など,おもにスマートフォン向けの放送サービス充実を求める意見が前年から増加した。