- 著者
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麓 弘道
- 出版者
- 公益社団法人 日本アイソトープ協会
- 雑誌
- RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
- 巻号頁・発行日
- vol.68, no.11, pp.773-789, 2019-11-15 (Released:2019-11-15)
- 参考文献数
- 37
- 被引用文献数
-
2
自然放射性核種を含む廃棄物の処分や超ウラン核種を含む廃棄物について,浅地中処分の基準をどこに求めるか考察し,地殻に存在するラジウムの代表的な数値である10 nCi/gが広く判断の目安として取り入れられていることを確認した1, 2)。本資料では,免除とクリアランスの考え方を廃棄物処分の観点から再構築する。我が国では,放射性物質が,免除とクリアランスの区分に分別されたと確認された後は,放射性物質ではなくなるので,放射線防護から外れると理解されている。しかしながら,LNTモデルを前提とする放射線防護体系では,ここから放射性物質として扱わないとする閾値はない。そのため,諸外国では,免除・クリアランスを柔軟に運用しており,特に廃棄物処分ではそれが顕著である。IAEAも指摘しているように,国際的に統一したクリアランスレベルを定めるのは,クリアランス対象物が国際流通する懸念があるためである。当該国で完結する廃棄物処分においては,その基準は各国の裁量に任されていると理解してよい。ここでは,各国の処分における,免除・クリアランスの適用を確認し,ともすると硬直しがちな我が国の放射線防護に柔軟性を取り入れる参考とする。