著者
黄道三 黒橋 禎夫 長尾 眞
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.77(1994-NL-103), pp.121-128, 1994-09-15

実際文では,非文ともいえるほどの文も使われる場合があり,文を限定されたルールによって解析するには限界がある.韓国語は語順が自由で,不規則が多い言語であるため,決まったルールでは解析できない場合が多い.最近,用例パターンとの類似性に基づいて日本語文を解析するシステム「KNP」が開発され,構文解析において96%という高い成功率を表している.これは,長い日本語文には並列構造になっている文節が多いので,これらを先にまとめることによって,長い文を簡単な構造に解析することができるという考え方に基づいている.日本語と韓国語とは構文構造と語彙形成形熊とにおいて似ているので,KNPは韓国語にもうまく働くと考え,KNPのハングル化()を試みた.330文に対して実験を行なったところ,韓国語の長い文にも十分に有効であることがわかった.また,日本語180文とそれを訳した韓国語文を各々KNPとhKNPで構文解析し,日本語から韓国語への対照分析を行なった結果,すべての文において文節の順序が一致しており,74文(%)の構文構造が完全に一致していることがわかった.