著者
古城 和子 黒岩 純子
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:09162151)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.21-39, 1999-09

平成10年度入学生から、小学校・中学校教諭普通免許状の取得要件として、「教員が個人の尊厳および社会連帯の理念に関する認識を深めることの重要性と教員の資質向上および学校教育の一層の充実を図る」観点から『介護等体験』が義務づけられた。『介護等体験』を充実した教師教育のプログラムとするためには、養成側の大学での事前・事後指導と、受入側の各学校・施設における体験とが、有機的に結び付き、学生が障害者や高齢者等との交流・介護・介助等を通して、価値観の相違や地域社会での共生等を学ぶことが必要である。本研究は、初年度の『介護等体験』の体験生を対象に、現場での具体的な体験内容を集約し、今後の指導上の課題を探り、現場に即した事前指導の在り方を検討することを目的として行なわれた。その結果、学生の体験内容から、1)養護学校、社会福祉施設での体験に違いがあること、2)養護学校、社会福祉施設共にそれぞれの学校・施設の種別によって求められる体験が異なっていることが明らかとなった。また、指導上の課題としては、1)基礎的介助・介護の説明・実習、2)受入先の養護学校、社会福祉施設に関する説明及び入所者・通学(通所)者の状態・症状についての説明、3)入所者・通学(通所)者とのコミュニケーションの取り方の指導、4)一人ひとりに合わせた対応の仕方についての指導の必要性があることがわかった。