著者
稲石 良太 Fei Zhai 北 栄輔
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.10-21, 2009-03-27

近年,効率的市場仮説に基づいた従来のファイナンス理論では説明することのできない現象,アノマリを投資家心理から分析するために行動ファイナンス理論が関心を集めている.本研究では,数ある心理的バイアスの中から自信過剰に焦点を当て,マルチエージェントシミュレーションによって自信過剰な投資家が株式市場に与える影響について分析を行う.分析の結果,自信過剰な投資家が多い市場では,市場の取引高が増えること,上昇トレンドが発生しやすいことを見い出した.また,自信過剰と上昇トレンドの関係について分析を行った結果,上昇トレンドが発生した場合,投資家は自信過剰になる傾向があることが分かった.