著者
Griscom David L.
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会学術論文誌 : Nippon Seramikkusu Kyokai gakujutsu ronbunshi (ISSN:18821022)
巻号頁・発行日
vol.99, no.1154, pp.923-942, 1991-10-01
被引用文献数
36 533

この論文では,シリカガラスと他のアモルファスSiO_2型における点欠陥の構造と光学的性質について何が知られているを解説する.現在入手できる構造の情報は,主に電子スピン共鳴分光(ESR)-常磁性を示す欠陥の副クラスにのみ直接適応できる方法-の結果から得られている.ESRによってこれまでに同定された固有型常磁性中心としては,E'中心(≡Si・),非架橋酸素ホール中心(≡Si-O・),過酸素ラジカル(≡Si-O-O・)と自己捕捉ホールがある.シリカ中で生じると考えられる固有型反磁性欠陥の例としては中性の酸素空格子(≡Si-Si≡),二配位のケイ素原子(-O-Si-O-)と過酸素結合(≡Si-O-O-Si≡)がある.最も共通した非固有型欠陥は水酸基と塩化物の不純物と関連したものである.照射誘起されたH^0とH_2は,OHを100ppm以上含むガラス中における欠陥の,照射後の成長と減衰速度に重要な役割を果たす.文献からESR/光学の相互関係をまとめると,可視,紫外,VaCuum-紫外分光域における多くの欠陥と関連した光学的吸収バンドの最も有り得る起因は,その相互関係に包含される.これらのバンドの他のものは,格子間O_2,O_3,Cl_2分子によるものであり,それはそれら分子のスペクトルの位置と幅がガス中の対応する種のものと類似しているからである.