著者
竹島 秀雄 KAKU Takayuki USHIO Yukitaka
出版者
日本脳神経外科学会
雑誌
Neurologia medico-chirurgica (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.242-245, 1999-03-15
被引用文献数
11

自然退縮を示した神経梅毒(ゴム腫)の1例を報告する。症例は75歳男性、頭痛で発症した。MRIのT1, T2強調画像ともに低信号を示し、Gd投与でリング状に増強される、硬膜と癒着した病変を右後 頭葉に認めた。経過中、ステロイドや抗生物質を投与しなかったにもかかわらず、画像上自然退縮を認めたため、悪性リンパ腫の術前診断で摘出を行った二ところが、組織学的には非特異的肉芽腫で、髄液中のTPHA反応が強陽性、抗生物質の投与にて約4カ月で病変が消失したことよりゴム腫の診断が確定した。近年AIDSの増加とともに神経梅毒は増加しており、硬膜を巻き込んだ腫瘍では自然退縮を認めても、ゴム腫を鑑別診断として考慮すべきである。