著者
福原 和子 Kazuko Fukuhara
巻号頁・発行日
vol.27, pp.83-90, 1994-03-03

まず最初に、外国語を話したり聞いたりする力 (最近ではオーラルコミュニケーション能力とか音声言語運用力ともいわれる) へのニーズは昔からあったことを示す。そしてその養成の成果がいまだに上がっていないのは、音声言語運用の指導の難しさにあり、最近目ざましい進歩を遂げている脳の科学の知見は、効果的な指導法について示唆を与えてくれることを予測する。そしてその具体例として行った実験について報告する。実験では、日本人学生の短期記憶容量が英語の場合どのように変化し、また英語のネイティブスピーカーとどのように異なるかを調べた。その結果、被験者の学生たちは音声英語運用に於いて効率の悪い短期記憶の使い方をしていることが分かったので指導法の改善を提案する。最後に、今後への展望として、効果的なオーラルコミュニケーション能力育成のために役に立つ研究分野について言及する。