著者
飯島 巧介 國井 洋一 Kosuke Iijima Yoichi Kunii
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.143-153, 2023-03-10

本研究では,千葉県に所在する龍角寺岩屋古墳の建設において,現在の技術および古代の技術を用いた際における両者の工程表や積算についてそれぞれ検討および比較を行い,文献調査をもとに現在の建設現場に活かせる技術を推察することを目的とした。現況の龍角寺岩屋古墳に対して地上レーザスキャナによる3次元測量を実施し,形状および大きさを把握した上で,各時代の工事条件を適用することにより比較を行った。その結果,古代における施工は,現在と比較すると約3倍の時間と約46倍の人員を必要とすることが明らかとなった。また,千年以上経過した現在でも一部を除いて原型を留めていることが確認されたことから,適切かつ優れた締固め技術が使用されたと推測される。本対象地で締固めに使用された技術と道具の特定が可能であれば,現在の建設現場,とりわけ僻地や狭隘地等での活用が期待できる。