著者
大城 昌平 儀間 裕貴 Loo Kek Khee 穐山 富太郎
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.326-332, 2005-08-20

発達障害のリスクを持つ乳児と母親を対象として, ブラゼルトン新生児行動評価(NBAS)を基にした介入(以下, NBAS-based intervention)の新生児行動の発達, および母子相互作用に対する影響を検討した。研究デザインは, それぞれ2週間の観察期間と介入期間の前後比較研究である。対象は長崎大学医学部歯学部附属病院未熟児室で加療した発達障害のリスクを持つ新生児・乳児とその母親13組であった。NBASを用いた介入方法は, NBASのデモンストレーションを母親と一緒に行いながら, 児の行動能力を示し, ハンドリング指導や生活指導などの育児支援を行なう母子介入の方法である。帰結評価には, 1) NBASによる新生児行動の発達評価, 2) NCATS (Nursing Child Assessment Teaching Scale)による母子相互作用の観察評価, 3) 母親の児の取り扱いに対する自信スケール(Lack of Confidence in Caregiving; LCC)の3つの評価尺度を用いた。その結果, NBAS-based interventionは, 母親の児の行動に対する感受性と育児技術を向上させ, 母子の相互作用, 母親の育児の自信と児の行動発達を促進する結果であった。以上の結果から, NBAS-based interventionは発達障害のリスクを持つ児と母親の関わり方や母子の相互作用を促し, 相乗的に児の行動発達も促進する可能性があると思われた。