著者
川名 登 Noboru Kawana 千葉経済大学 CHIBA KEIZAI UNIVERSITY
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = The Chiba-Keizai ronso (ISSN:0915972X)
巻号頁・発行日
no.36, pp.三十一-五十四,

近世において、日本の二大海運の一つであった西廻り海運の捷路として、円山川と市川を利用して日本海と瀬戸内海を結ぶ舟運輸送路を造成しようという計画は、近世中期の享保期以来しばしば考えられ、実行もされてきた。しかるに両川の上流を結ぶ陸送は、わずかの距離ながらも大きなネックとなり、大量輸送を実現できずに終った。しかし、西廻り海運の捷路としての目的は達成できなかったが、両川沿岸の地域の諸産物の商品化を促進し、両川舟運の発展を刺激した。本稿ではこの幾度かくり返された計画を検討し、その問題点と意義を明らかにした。