著者
田口(袴田) 理恵 河原 智江 西 留美子 Rie Hakamada-Taguchi Chie Kawahara Rubiko Nishi
雑誌
共立女子大学看護学雑誌 = Kyoritsu journal of nursing
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-8, 2014-03

児童虐待の予防対策の充実は喫緊の課題となっているが、そのために必要な虐待の前段階を含む連続的な虐待の評価指標はこれまで開発されていない。このため本研究では、母親の虐待的行為の項目数と頻度からなる得点について、虐待の前段階を含む虐待評価指標としての妥当性を検討することを目的とした。本研究では、3-6歳の子どもを持つ母親を対象としてアンケート調査を実施し、虐待的行為得点と虐待の強力なリスク要因である社会経済的状況並びに育児感情との関連性を分析した。結果、虐待的行為得点は、十分な内的整合性を有するとともに、母子家庭、世帯収入の低さ、母親の低学歴と関連することが示された。また、虐待的行為得点は、育児負担感、育児不安と関係することが示された。したがって、本得点は、虐待の前段階を含む連続的な虐待の実態を把握するための指標として、一定の妥当性を有することが示唆された。