著者
SANDUIJAV ENKHBAYAR 宇津呂 武仁 佐藤 理史
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.185-205, 2005-10-10 (Released:2011-06-07)
参考文献数
4
被引用文献数
1 4

本論文では, 現時点で利用可能なモンゴル語の言語資源, 特に, 名詞・動詞の語幹のリスト, および, 名詞・動詞に接続する語尾のリストから, モンゴル語の名詞句・動詞句を生成する手法を提案する.具体的には, 名詞・動詞の語幹に語尾が接続する際の音韻論的・形態論的制約を整備し, 語幹・語尾の語形変化の規則を作成する.評価実験の結果において, 100%近くの場合について, 生成された名詞句・動詞句の中に正しい句候補が含まれるという性能を達成した.さらに, 本論文では, この句生成に基づいて, モンゴル語の名詞句・動詞句の形態素解析を行なう手法を提案する.具体的には, まず, 既存のモンゴル語辞書から名詞語幹および動詞語幹を人手で抽出する.次に, これらの語幹に対して, モンゴル語名詞句・動詞句生成規則を適用することにより, 語幹・語尾の組から句を生成するための語形変化テーブルを作成する.そして, この語形変化テーブルを参照することにより, 与えられた名詞句・動詞句を形態素解析して語幹・語尾に分離する.評価実験の結果においては, 語形変化テーブルに登録されている句については, 形態素解析の結果得られる語幹・語尾の組合せの候補の中に, 正しい解析結果が必ず含まれることが確認できた.