著者
Tsukasa ISHIZAWA Yasushi IKEDA
出版者
Architectural Informatics Society
雑誌
建築情報学会論文誌 (ISSN:24363863)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.a1-a21, 2021 (Released:2021-10-04)
参考文献数
54

本論文ではBuilding Information Modelingソフトウエアのログ解析手法(BIM log mining)の拡張を提案する。複数の組織から収集したログファイルを、記録されているコマンドに基づきクラスタ化し、ビジュアル分析を行った。ケーススタディとして2つの異なるデータセットを異なるレベル(コマンド単位、組織単位、ユーザ単位)で分析し、多様なBIM活動が理解しやすく可視化できることを示した。結果、実行されたコマンド同士の共通性・プロジェクトに対する貢献度に対応してログファイルは4種類に大別できることが判明した。この分類によれば複雑で見えにくいBIM上での活動を、予備知識を必要とせずに解読できる。その有用性は相互比較、とくに組織の業態や規模を超えた柔軟な比較にあり、データに基づいた個人や組織のスキルデザインを可能にする。個々のユーザーやBIMチームは、本手法により動的に活動をモニタリングし、時々刻々と変化するプロジェクトの状況によりよく対応することができる。BIMはプロジェクト期間中に活用が停滞しやすいことが知られている。本手法はスキルや管理の問題を改善することで竣工時までBIMが運用されやすい状況をつくり、特に大規模プロジェクトで期待されるBIM利活用の効果向上に貢献する。