著者
鎌田,浩毅
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集
巻号頁・発行日
no.40, 1992-12-15

大分-熊本構造線は, 四国以東の中央構造線の九州への西方延長と考えられ, 鮮-更新統火山岩と中・古生界との分布境界に位置し, 約5-0 Maの間に活動し半地溝状構造を形成した火山構造性陥没地(豊肥火山地域)の南縁の最陥没部にあたる。大分-熊本構造線はまた, 東北東-西南西方向に延びる北落ちの重力急傾斜部にあたり, これに沿って3つの右横ずれ断層(今畑-白家断層, 布田川断層, 日奈久断層)が認められる。重力急傾斜部は2カ所で屈曲し, いずれも長方形の重力負異常域を形成し, 先第三紀基盤岩が右横ずれセンスのプル・アパート運動を受けたことを示唆する。大分-熊本構造線沿いの右横ずれ運動は, 豊肥火山地域がグラーベンを南北に開きながら北東方向へ移動し, 東西方向の雁行状伸張割れ目を発達させる動きと調和的であり, これらの運動はいずれも, 約6 Ma以降の南海トラフにおけるフィリピン海プレートの右斜め沈み込みに起源が求められる。中央構造線沿いの右横ずれ運動の始まりは, 従来の推定より古い, 約5 Ma以前と推定される。

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