著者
小澤,正直
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, 2012-02-05

有限次元の状態空間をもつ量子力学系に対する測定で,可能な測定値が有限個の測定の一般論を解説する.理論の展開は公理的な方法を用い,(射影仮説を含まない)少数の量子力学の基本原理と測定に関する自明な仮説から理論を演鐸する.測定理論に不可欠なPOVMや完全正値インストルメント等の数学的方法は,それらの自明性の高い基本仮説から理論の結論として導かれ,数学的道具を出発点に理論を展開する方法はとらない.目標の一つは,それらの数学的方法が概念的に極めて堅固な基礎の上に打ち立てられていることを明らかにすることである.この方法の利点の一つは,物理的に可能な測定の全体を数学的に特徴付けることを可能にすることで,最適測定の特徴付けや測定誤差と擾乱とのトレードオフなど究極的な限界を導くための方法論を提供する.一つの応用として,Heisenbergがガンマ線顕微鏡を用いて提案したような測定精度と擾乱の間の関係を考察し,新たな普遍的な関係の導出を目標とする.

言及状況

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小澤正直(2011). 量子測定理論入門. 第56回 物性若手夏の学校 講義ノート. https://t.co/npBNVIDCxv

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