大判錦絵8枚揃の連作。芸術性の高さで広重(1797-1858)の代表作として知られる。「吾嬬杜夜雨」「羽根田落雁」「行徳帰帆」「玉川秋月」「小金井橋夕照」「芝浦晴嵐」「池上晩鐘」「飛鳥山暮雪」の八景が描かれている。初版は大盃堂呑桝という狂歌師とその連の注文制作品で欄外に「大盃堂開版」と刻記、各図中に3首ないし4首の狂歌を入れ、喜鶴堂(佐野屋喜兵衛)から刊行された。当館のものは後版で欄外の刻記は削除、狂歌は削除あるいは新しく入れ木により加えられるなど、各図1首ないし2首に変更されている。図中の極印(錦絵刊行に際しての検閲の印)の下に版元喜鶴堂「喜霍」の角丸方形朱印がある。この8枚揃は初版はもとより後版のものも遺品が少なく珍重される。