- 巻号頁・発行日
- 1615
大坂冬・夏両陣の戦記を扱った仮名草子。時事的事件が直ちに印刷手段によって巷間に報道されたもので、わが国印刷文化史上意義深い出版物である。川瀬一馬著『増補古活字版之研究』には6種の刊本が挙げられているが、当館本はその第1種本とされている元和元(1615)年刊と推定される平仮名交じり本。表紙に「大坂物語 上下」と墨書されているが、冬の陣を扱った上巻のみを所蔵。現在他に所伝を見ないものである。武蔵国大里郡吉見村字冑山の豪農根岸武香(1839-1902)の冑山文庫旧蔵書。他に蔵書印が5種押捺されている。