- 著者
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北畠, 親房
- 出版者
- 朝宗写
- 巻号頁・発行日
- 1546
南朝の重臣北畠親房(1293-1354)の著作で、公家の官職について解説したもの。興国元年(1340)の成立。毎半丁10行の墨界がある。訓点、振り仮名を付し、朱句点、朱引を施す。別筆の片仮名交じり及び漢文の注がある。上下二巻に分巻するが、上巻には巻次を示さず、下巻首に「職原鈔 下」とある。『職原抄』の写本は源顕統奥書本と一条兼良奥書本の2系統に大別されており、前者が原型に近いが、版本として流布したのは後者である。本写本は、上下巻末に正平2年(1347)の源顕統の本奥書を有し、前者に属する。源(北畠)顕統は著者の甥にあたる。下巻末に天文15年(1546)3月の書写奥書がある。「武州足立郡鳩井慈林寺住筆者朝宗之」とするが、経歴は未詳。別筆で「主 尊融」とある。見返し中央に「門外不出 松本道別蔵書」の蔵書印を捺し、裏表紙にも「門外不出」の墨書がある。霊学研究家松本道別(1872-1942)のものか。