- 巻号頁・発行日
- 1500
本写本は、巻頭書名は「庭訓往来」とあるが、内容は明らかにその注釈書であるため、今仮に付した。「庭訓往来」は書簡文例集。古往来物のひとつで、室町時代初期以前に成立。著者未詳。中世武家子弟の読み書きの教科書として編まれたもので、子弟に必要な教養・知識を、往復書簡のかたちで年間の各月に配当して教えた。古往来物のうちで室町・江戸両時代を通じて最も広く流布し、書簡文(候文)の書式・用語・文体の規範となった。慶長以前の古写本約30種と、正文本・付注本合わせて各種大量の刊本が今に伝存している。本写本は、当館所蔵の別本(請求記号:WA16 -108)と同一系統の付注本であるが、頭注が著しく簡略化されている。付注者・書写者ともに未詳。料紙・字体等から室町末期から江戸初期頃の書写と推定される。幕末・明治初期の国学者榊原芳野(1832-81)の旧蔵書。