2 0 0 0 OA 煎茶手引の種

著者
山本都竜軒 著
出版者
須原屋新兵衛[ほか5名]
巻号頁・発行日
1848

煎茶道の指南書。『煎茶小述』と同様、書肆は江戸の嵩山房(小林新兵衛、屋号は須原屋)。序文は山本山の主人(号は都龍軒、6代目徳翁か)による。嘉永元年(1848)に刊行された。書型は横本で、手軽な実用書としての体裁を備えており、幕末の日本で煎茶道が一般の人々に広く浸透していた様子が看取できる。表紙には題簽が剥落した跡が残るが、目録題・尾題に「煎茶手引の種」、見返しに篆書で「煎茶手引之種」とある。葛飾応為の挿絵が載り、日本橋の「山本加兵衛茶園」で茶摘みをする女性たちの絵を筆頭に、煎茶器の取り合わせ方を描いた「煎茶之式」5図、器物を個別に描いた10図が続く。巻頭の漢詩「茶事詠」2首の作者は、明代中国の蔡復一。日野原健司「葛飾応為の版本挿絵 : 『女重宝記』と『煎茶手引之種』」(『浮世絵研究 : 太田記念美術館紀要』第8号、2017年)によると、天保14年(1843)の年記を持つ序文を収める『煎茶手引之種』(太田記念美術館蔵)の挿絵は、応為ではない絵師のもので、嘉永元年版は、挿絵・序文・本文を含む全冊にわたって版木を彫り直し、応為の絵を新たに載せた改刻再版本である。植物学者、白井光太郎の旧蔵本。(山本嘉孝)(2019.11)

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