2 0 0 0 OA 小不老草名寄

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水の [編]

オモト(万年青)は文政年間(1818-29)以来流行し、とくにコオモト(小万年青、小不老草)と称する小型品の葉型の変化が愛玩の対象となった。天保3年(1832)9月15・16日には、幕臣水野忠暁(1767-1834)が主催して、江戸蔵前八幡社でコオモトの展示会が開かれた。本資料のように、凝った鉢に植えたコオモト15品を一組とする一枚刷が刊行されたのは、この会に合わせてと思われ、全体で少なくとも8種類ある。本資料はそのうちの7種類を所収しているが、冊子体に綴じられているので、一枚刷として拡げられない難がある。したがって少々見にくいが、鉢の右に花銘が、左あるいは台板に出品者名が記されている。いずれも一枚刷の冒頭に「こをもとなよせ」と読める題があり、左下の囲み内に「東都小不老草連中/関根雲停写生/水のげんちうきやう撰」などと後記を記す。題の字句と色、後記の内容はそれぞれ異なる。「水の」は水野、「げんちうきやう」は源忠暁の音読み、関根雲停(1804-77)は天保頃から明治初期にかけて活躍した博物画家である。当館の下記資料に、本資料の一枚刷が、拡げられる形で収納されている。『小おもと名寄』(特1-3227):本資料の5番目と同じ。『小おもと名寄』(855-21):5点所収。本資料の1~3・5・6番目と同じ。ただし、題名の「小」を「子」に変えるなどの変更がある。『小不老艸名寄七五三』(855-22):本資料の7番目と同じ。「七五三」は優れた品の意。書袋付き。(磯野直秀)

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これの本物が観られるっぽい。 江戸の園芸の様子が観られるおもとの鉢植え。特に鉢がもう素敵で大好きな絵です。ひとり興奮。江戸の人も鉢のおしゃれを楽しんでいたのだなあ。 この資料、前からwebにはあったけど、アップで観られるようになってる http://t.co/A6ydWfr1a0

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