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- 巻号頁・発行日
- 1721
室町物語。享保6年(1721)刊。按察大納言の息少将は一緒に育った前関白の姫君若草と結ばれ姫君も誕生するが、父大納言は不満で、強引に少将を三条中納言の娘婿にしようとする。若草は夫と娘と引き離され、宇治の尼のもとに預けられ、少将の心変わりかと悩んだ挙句宇治橋から身を投げる。少将は若草を尋ねてその死を知り、出家して高野山から吉野の奥に入る。大納言は少将を探し当てるが姿を隠され、北の方と共に出家して往生を遂げる。少将は熊野で修行して往生を遂げる。姫君は摂政の孫の侍従と結婚し、少将の妹は三位中将の北の方となった。無刊記の京版(当館請求記号:京-6)と比べ、3巻を2巻に組み替えるが、本文は2箇所の語句の異同を除いて同文。中本形の小型本で、文字も小さく詰め込み、挿絵も2図を1図に合わせる場合もあり、安価な読み物を提供したものであろう。(岡雅彦)