著者
有吉 洸
巻号頁・発行日
2011-03-24

近年の日本では、若い世代を中心にインターネットカフェで一晩を過ごすという新しい就寝のスタイル が市民権を得つつある。インターネットカフェとは、『有料でインターネットにアクセスできるパソコンを利用できる施設』であり、『漫画喫茶の付属設備のひとつとしてインターネットが利用できるパソコンの導入が進められた』結果誕生した(wikipediaフリー百科事典「インターネットカフェ」より引用)。多くの店舗が24 時間営業を行っており、インターネット・テレビ・ゲーム・漫画・雑誌といったコンテンツを利用する事ができる。また、ブランケットやクッションの貸し出し、シャワールームの設置を行っている店舗も多く、比較的安い料金で一晩を過ごす事が可能な事から、仕事や趣味・娯楽を目的とした利用に加えて、ビジネスマンや旅行客、就職活動中の学生などがホテルに宿泊する代わりに利用するケースも見られる。そのため、いわゆる「ネットカフェ難民」の問題が盛んに議論された時期もあったが、現在では「インターネットカフェで一晩を過ごす」という行為は一つの社会現象の域を超え、日常的な施設利用のスタイルとして定着している。インターネットカフェの施設種は基本的に飲食店だが、その営業形態の特性から、「風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律」の規定する「風俗営業」に該当する可能性がある。『 「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。(中略)六喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの』(「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」第一章 第二条より引用)風俗営業に該当した場合、営業時間を始めとする様々な制約が生じる。そのため多くのインターネットカフェでは、制約を回避するために、店舗の仕様や提供するサービスにいくつかの制限を加えている。例えばインターネットカフェのブースは1.5 ~ 2.0 ㎡程度の広さのものが一般的だが、これを壁で仕切って完全な個室にすると上記の風俗営業に該当するため、多くの場合は人の背丈程度のパーティションによって仕切られている。またブースの出入口のドアも、窓の付いた物や、下半分が空いている物など、外から見通す事が可能な形状のドアが使用され、施錠もできないようになっている。このようにインターネットカフェで提供される環境・サービスは、通常のホテルのように宿泊を前提としたものにはなり得ない。そのような状況のもとで、各自が居場所や寝場所を成立させるには、提供される空間に対して積極的に工夫を行い、プライバシーの確保される個人的な領域を構築する必要があると考えられる。そこで本研究では、インターネットカフェのブース内に形成されていると予想される個人的領域を研究対象とし、まずブースの物理的な実態と特徴を把握し、さらに実際の利用における具体的なブースの使われ方を分析することによって、インターネットカフェにおける個人的領域の形成に関する基礎的な知見を得ることを目的とする。

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思った通りネカフェのほうが広いっぽい https://t.co/0M85G4Yutk

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