著者
松浦 亮太
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.125, pp.91-109, 2016-03-30

運動を連続的に行うとそのパフォーマンスは低下していき,最終的に運動自体を続けることが出来なくなることは,あらゆる人々によって経験される事実である。筋疲労という用語が用いられた場合,その用語はこれらの運動パフォーマンスの低下や疲労困憊を意味するものであると混同されがちである。筋疲労の結果として運動パフォーマンスの低下や疲労困憊が起こるという理解は正しいが,筋疲労の発生および亢進は運動パフォーマンスの低下および疲労困憊と同一のものではない。伝統的な筋疲労研究において筋疲労の定義は確立されてきたが,近年の研究では,その定義に必ずしも当てはまらない状況において運動パフォーマンスの低下および疲労困憊が起きることが報告されている。これは,これまでの筋疲労の定義では説明できない筋疲労というものが存在する可能性を示している。そこで本稿では,初めに伝統的な筋疲労の定義を提示し,その後にその定義には当てはまらない筋疲労について,著者が主体的に関わった研究成果を中心に考察を進める。最終的に,伝統的な筋疲労の定義を修正した新たな定義を提案する。

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