著者
Kawasumi Hirosi
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 = Bulletin of the Earthquake Research Institute, University of Tokyo (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3-4, pp.355-367, 1951-03-25

昭和24年12月26日朝8h 16m及8h 25mに栃木縣上都賀郡今市町附近を中心とする小區城破壊的地震が起り,死者8,行方不明2,全潰住家299戸半潰住家618戸の被害を生じた.此の地震の震央附近の震度は極めて強かつたようであるが,振動週期極めて小なりし爲か石藏家屋の外は全潰(現建築費50%以上の損害)とは云へ倒潰と云ふやうなものは少かつた.從つて火事の發生を見なかったのは幸であつた.然し山崩,地辷りは極めて著しく,山地田畑の荒廢著しく,人命の損失の大部分もこれによるものであつた.余震の頻發した事,及び初動の圓錐型分布,及び所謂地震斷層と思はれる如きものの見へなかつた事も本地震の特徴と云ふべく,今市町全體に互る地震後井戸壁の變形から約6mの厚さの地層が東方に約6cm移動した事が判明したが,之は測地學上重要問題を指唆するものである.尚水準測量の結果は今市町近傍數粁の間だけ約30~40cmの隆起があつた由である.震後の火山活動との關係も興味ある問題であらう.

言及状況

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編集者: Bcxfubot
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