- 著者
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羽鳥 徳太郎
- 出版者
- 東京大学地震研究所
- 雑誌
- 東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.2, pp.133-147, 1987-10-23
日本海側に発生した元禄7年(1694)能代地震・宝永元年(1704)岩館地震・寛政4年(1793)鯵ケ沢地震および文化7年(1810)男鹿地震について,新史料を加えた震度分布図を示し,地震の規模を検討した.一方,史料をもとに各地の津波の高さを現地調査し,津波の規模を考察した.1939年男鹿地震(M=7.0)の震度分布と比べると,鯵ケ沢地震の規模はM=7.2,能代地震・岩館地震・男鹿地震はいずれもM=7.0と推定される.これらのマグニチュード値は,従来のものより0.1~0.2大きい.鯵ケ沢地震では鯵ケ沢~深浦間で3~5mの波高が確められ,津波マグニチュードはm=1と推定される.岩館地震の潮位記録は,深浦~滝ノ間間で0.6~1.4mの津波が伴ったことを示唆しており,津波マグニチュードはm=Oとみなせる.また,能代地震・男鹿地震では20~30cmの津波があったと考えられる.震度・津波および地殻変動のデータを考え合せると,震源域は西津軽~男鹿沿岸にそって並び,震源の大きさは30~50kmと推定される.