著者
堀 雄紀
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.359-371, 2018-03-30

本稿の目的は、言葉によっては説明し尽くされ得ない「暗黙の知」をあえて言語化しようとする営みに、どのような意義を見出すことができるのか、身体技法の伝承場面における観察・分析を通じて明らかにすることである。そのために、M. ポランニーの<暗黙知>に着目し、「私たちの『知』を支える、暗黙裡に進行する過程」という定義に立ち戻った上で、G. ベイトソンのコミュニケーション理論を導入することで、「<暗黙知>によって構築される自己修正的システムの階層構造」という新たな理論枠組みを提示した。それに基づいて見出された「語り」の意義は、いずれも<暗黙知>の制御による学習者支援であった。ひとつは、言語の表示作用によって<暗黙知>が取りこぼした差異(情報)に注意を向け、既存のシステムの再構築を促すことである。もうひとつは、比喩的言語表現によって<暗黙知>を起動し、より高次の包括的統合を実現することである。

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編集者: Flightjacket
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