著者
伊藤 明良 山口 将希 黒木 裕士
出版者
日本生体電気・物理刺激研究会
雑誌
日本生体電気・物理刺激研究会誌 (ISSN:18821014)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.15-21, 2015-11

関節軟骨治療における低出力超音波パルス(LIPUS)の応用が模索されているが、未だその効果の詳細は解明されていない。本研究の目的は、LIPUSの関節軟骨破壊因子に対する即時的効果および骨軟骨欠損モデル動物に対する組織修復効果を検討することである。ラット培養軟骨細胞に対してIL-1βを添加し、LIPUSを0~120 mW/cm2強度で照射した。1時間後に関節軟骨破壊因子であるMMP13を中心としたmRNAの発現を解析した。その結果、IL-1βの添加によってMMP13の発現は有意に増加したが、LIPUS照射はその発現上昇の抑制効果を示し、その抑制効果はLIPUS強度が高い程大きかった。次に、ラット大腿骨滑車面に骨軟骨欠損を作成し、LIPUS照射を実施した。骨軟骨欠損部へのLIPUS照射は、擬似照射と比較して軟骨修復を促進した。以上のことから、LIPUSはIL-1βによって惹起されたMMP13 mRMA発現を強度依存性に即時的に抑制する可能性を有することが示唆された。また、LIPUSは骨軟骨欠損モデルラットの関節軟骨修復を促進する可能性を有することが示唆された。

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