- 著者
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明星聖子
- 雑誌
- 情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
- 巻号頁・発行日
- vol.2004, no.58(2004-CH-062), pp.37-44, 2004-05-28
コンピュータは、はたして、文献学が現在陥っているジレンマを解決してくれるのか。その答えを探るために、ここではそのジレンマを、カフカのテクスト編集を具体例に説明する。カフカの草稿を忠実に編集しようとして、3種類のカフカ全集が出版された。その最新のものが示す型破りな形態は、草稿への忠実の追求が、じつは、紙の本というメディアの限界への挑戦だったことを明らかにしている。とすれば、コンピュータという新しいメディアに何を託すべきか。草稿という存在がもつ文学的意味を考えながら、学術的編集において今後コンピュータが担うべき役割を示唆する。