- 著者
-
幸田 浩文
- 出版者
- 東洋大学経営力創成研究センター
- 雑誌
- 経営力創成研究 = Journal of Creative Management (ISSN:18800521)
- 巻号頁・発行日
- vol.14, pp.5-20, 2018-03
近江商人は、江戸時代に現在の滋賀県・琵琶湖周辺の近江地方から発祥した高島・八幡・日野・湖東商人の総称である。近江商人は、地元の裕福な商人と豊富な労働力を結びつけ、本家を地元に置き、行商先に店舗を設けることで、独自の流通網を構築した。とくに日野商人は他の近江商人のように大都市ではなく、北関東と東北の小都市ならびにその周辺地域で行商し、その土地に次々と店舗を開き、その出店を通じて商品を委託販売した。1701 年に近江・日野町の正野玄三により合薬が創製され、その薬効が好評を博するにつれ、次第に古くから日野行商の主力商品であった日野椀に取って代わり、新たに日野売薬が従来の販売網を通じて委託販売されるようになった。それを支援したのが1680 年に設立された商人の仲間組織である「大当番仲間」であった。この組織の活動はその後明治時代初期までおよそ200 年余り続けられ、日野売薬の発展に大いに貢献した。