雑誌
高知県畜産試験場研究報告 = Report of the Kochi Prefectural Livestock Experiment Station (ISSN:02895196)
巻号頁・発行日
no.18, pp.36-46, 2002-03

乳牛における暑熱対策の実施期間および適正な運用技術を確立するために、複数の農家において繁養牛の呼吸数、直腸温等を調査し、泌乳量など乳牛側の要因、体感温度、牛舎環境要因との関連を検討した。呼吸数と体感温度の関係は日乳量によって異なり、日乳量35kg/日未満では呼吸数の全平均(48回/分)を超えるのが体感温度25℃前後であるのに対し、35kg/日以上では体感温度21℃前後となった。産次では3産が呼吸数が多く、搾乳日数の進行に伴って呼吸数が多くなった。風速が速くなり、牛舎容積当たりの開口部面積が広くなるに従って呼吸数と直腸温が低下した。0.5m/秒以上の風速と牛舎容積1m3当たり0.06m2以上の開口部面積が暑熱ストレス軽減に有効であると思われた。牛舎内の体感温度に基づいて送風機等の稼働を制御する機器を試作して農家に設置した結果、繁殖成績が向上し、4~10月における305日補正乳量は4~6%増加した。搾乳牛25頭、搾乳牛1頭当たり乳量25kg/日、乳価98円の経営では年間40万円(搾乳牛1頭当たり1.8万円)程度の所得増となった。