著者
米山 雅浩
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
研究年報 = Annual report University Research Institute, Nagoya Gakuin University (ISSN:1346101X)
巻号頁・発行日
no.26, pp.1-12, 2013

従来の読みでは,"A New England Nun"の主人公Louisa は,心変わりした婚約者のため自ら婚約解消を申し出たとされてきた。だが14年間に及ぶ婚約期間に築き上げた独身生活の質を維持するため,誰の名誉も損なわずに破談にする方途をしたたかに追求したというのが真相である。しかし,「芸術家」的独身生活の果てにはWakefield やEmilyのように,「世界から見捨てられし者」となる運命が待っている。また,この小説には非生産的生涯を過ごすための経済的裏付けに対する言及がないため,Louisa の選択はリアリティに欠け,それが作品の価値を損なっている。