著者
大野 知代
出版者
藍野大学
雑誌
Aino journal (ISSN:1348480X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.9-12, 2002
被引用文献数
1

手指の細菌による汚染について調査した。手洗い・排便の前後,貨幣に触れる前後などにおける指先,およびトイレのドアノブをこすった綿棒を4種類の寒天培地に接触させて細菌コロニー数を測定した。その結果,流水による手洗い前の指では汚染が著明であった。一方,排便後トイレットペーパーを使用した指はときに細菌に汚染されていたが,排便後の汚染は必ずしも大腸菌によるものではなかった。また,コインや紙幣による手指の汚染は病院や家庭のトイレのドアノブと同程度顕著であった。石鹸を使用したあと流水で流して乾燥(温風)させることは,手指の細菌による汚染を除去するのに効果的であった。以上の結果から,手洗いは食中毒などの感染予防のために必要であると再認識された。
著者
井戸 由美子 牧野 純子 奥嶋 涼子 堤 重年 堺 俊明
出版者
藍野大学
雑誌
Aino journal (ISSN:1348480X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.29-33, 2002
被引用文献数
1

デイケア施設通所者に見られる生活習慣病の発生要因を調べるために,新阿武山病院のデイケア施設に通所中の分裂病患者(デイケア群)54名と,精神科慢性疾患治療病棟に入院中の分裂病患者59名を対象に身体的調査項目(身長,体重,肥満指数,血圧),血液生化学的調査項目(中性脂肪,総コレステロール,血糖値),生活習慣(運動量,食べ物・飲み物量,居住形態)について比較した。その結果,入院群に比べてデイケア群に体重,肥満指数,血圧,中性脂肪,総コレステロール,血糖値に異常値が高く見られた。その原因として,入院群は三食とも病院食を食べており,またおやつなどもある程度管理され制限されているのに対し,デイケア群では清涼飲料水,ファーストフードなどを多くとっていた。さらに女性群に比べ男性群に高い異常値が見られたことは,男性群の食生活は女性群に比べ正しく管理されていなかったためと考えられる。今後食生活の改善についての教育が必要と考えられる。