著者
氏平 明
出版者
福岡教育大学附属特別支援教育センター
雑誌
福岡教育大学教育総合研究所附属特別支援教育センター研究紀要 = Research bulletin of Special Education Center (ISSN:1883387X)
巻号頁・発行日
no.6, pp.1-14, 2014-03-01

口腔・鼻腔から出力される音声は必ず超分節的特徴を具えている。音声の最終出力の音声プランが描かれるとき,分節素の検索と配置の構成とともに,プロソディックワード(韻律語)の設定が,音韻単位でまとめられていく。その単位の末端が分節素で,そしてモーラ,音節,フット,プロソディックワードが各単位を構成し最終的には文ということになる。プロソディックワードの構成要素である各単位で,言語の普遍性に基づいた音韻制約や規則が展開され,経済性や忠実性等に根差した分節素のまとまりの発音が一体化し,プロソデックな側面が形成される。具体例としてアクセントやイントネーションの高低や強弱や長短の変化が設定される。形態素や語同士の連結で,アクセントの位置や連結部の発音が決定される。また分節素の環境からの関連で,同化や弱化が生じる。英語と日本語ではその音節構造とリズムの類型が違い,そのプロソディックな様相が全く異なる。もし言語障害の要因が発話産出過程のある個所の弱点だとすると,要因が同一であっても言語間でその症状が異なって表出する。