著者
Kaoru Kurogi
出版者
北海道大学大学院 理学院 科学基礎論研究室
雑誌
Linkage: Studies in Applied Philosophy of Science (ISSN:24359084)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.15-22, 2022-04-22 (Released:2022-04-28)

ポパーの反証主義は「科学の条件は反証可能であること」という提言のもとに科学と擬似科学の線引き基準を設定した理論であり、一般に科学から帰納の問題を排した、仮説演繹主義の哲学として認識されている。ポパーの科学哲学が生物体系学内部の方法論論争において頻繁に援用された事例を概観し、反証主義の個別科学への適用とその限界を示しつつ「験証度の理論」を中心にポパー哲学の再評価を試みる。そして仮説演繹主義を延長した、より包括的な反証主義解釈を提示する。
出版者
北海道大学大学院 理学院 科学基礎論研究室
雑誌
Linkage: Studies in Applied Philosophy of Science (ISSN:24359084)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.26-31, 2021 (Released:2021-04-02)

帰納推論の本性に関する議論には 2 つの異なるアプローチの仕方がある.一つは論理学的なものであり,もう一つは統計学的なものである.これまでこの 2 つのアプローチは全く異なる研究伝統に属してきたが,近年その数理的関連性に注目し,そこからより実り豊かな応用を引き出そうとする試みが現れている.本論では,こうした試みの一端を紹介し,論理と統計を結ぶアプローチがどこまで有望なものであるのかを議論する.