著者
辻本 弘明
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
vol.19号, pp.11-32, 1991-03

近代社会は労働と生産、それに分配を基調に自律運動をしているといわれる。そして、その社会には、その自律運動の方向づけをする支配権力が生れる。この支配権力は社会を動かす行動様式として民衆の意思を吸収し、その合意の表現としての政治を実現する本来的誠実義務をもつと云える。しかし、現実の歴史を顧みるとき、必ずしもそうなっていない。歴史上のこのような阻害要素を排除し、その本来的行動様式を維持しようとする民衆の思想と行動の一つに、「大正デモクラシー」があったと考えられる。本稿は、「大正デモクラシー」という思想運動と政治行動がどのようなクロスを描いて存在していたかを探ってみたいと考え、政治における民主制の表象とされる「普通選挙運動」をめぐる民衆と政党の行動と思想を構造的に把えることにおいて論を進める。

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