著者
小橋 寛薫
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
口科誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.76, 2018-07-28

転移性骨腫瘍,腫瘍随伴性高カルシウム血症に対して骨関連事象(skeletal-related event:SRE)の予防や治療に対して注射用ビスフォスフォネート(以下BPs)であるゾレドロネート(ゾメタ<sup>Ⓡ</sup>)および抗RANKL抗体であるデノスマブ(ランマーク<sup>Ⓡ</sup>)が使用されている。これら骨修飾作用を有する薬剤はBMA(Bone Modifying Agents)と呼ばれている。デノスマブにおいても,Marxが2003年に報告したBPs関連顎骨壊死(bisphosphonate-related osteonecrosis of the jaw:BRONJ)と同様の顎骨壊死が生じることが知られており,BMA関連の顎骨壊死はMedication-Related Osteonecrosis of the Jaw(以下MRONJ)と呼ばれている。ゾレドロネートおよびデノスマブの使用は年々増加しており,それに伴いMRONJ症例も増加している。MRONJ発症予防の最良の方法は,BMA投与前の 歯科受診と定期的なオーラルマネージメントとされているが,診断に一定の基準はなく,BMA投与前の抜歯適応とする歯牙の基準も明確ではない。これまで当院では,転移性骨腫瘍患者におけるBMA投与患者に対して,当科での口腔内精査とオーラルマネージメントを中心にMRONJ予防を行ってきたが,初診時にどの程度の歯科治療を行うかは初診医の判断にゆだねられてきた。そのため,BMA投与前口腔内精査により,一定のNRONJ予防効果は認めたものの,BMA投与後に抜歯が必要になり,MRONJを発症した症例が見受けられた。そこで初診時の対応を統一するために,当科ではBMA投与患者に対する口腔内精査のプロトコールを作成し,2014年4月より実施している。さらに,処方医およびコメディカルスタッフに対してBMA投与前の歯科受診の重要性とMRONJに対する知識を理解してもらうための勉強会等を行ってきた。今回プロトコール実施後4年が経過し,一定の成果を認めたため,BMA投与前歯科受診の有用性を検討するとともに,プロトコールのBMA投与前歯科受診における抜歯基準としての有用性について調査・検討を行ったので報告する。
著者
木野孔司
雑誌
口科誌
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.242-263, 1988
被引用文献数
2