著者
田附 俊一 Shunichi Tazuke
出版者
同志社大学保健体育研究室
雑誌
同志社保健体育 = Doshisha Journal of Health and Sport Sciences (ISSN:02864118)
巻号頁・発行日
no.45, pp.37-54, 2007-03-01

ホームページによると,小学生の50m走では,靴を履いて走るよりも裸足で走る方が速かったという報告がある.また,世界のトップスプリンターを対象とした研究では,脚の接地直前最大振り下ろし速度と走速度に相関があると報告されている.本研究では,靴を履いて走った50m走と裸足の50m走について,ランニングタイム,走速度,そして脚の接地直前最大振り下ろし速度の観点から検討した.68名の小学生を対象とした50m走の実験で,裸足で走った方が靴を履くよりも速い結果を得た(p=.000).12名の男子と12名の女子の計24名の中学生と高校生の陸上競技部員を対象とした50m走の実験で,被験者はそれぞれ裸足で,靴を履いて,そしてスパイクを履いて3回ずつ走り,その30m付近の走動作がNAC社製のハイ・スピード・ビデオカメラで撮影された.撮影された各被験者の裸足,靴を履いて,スパイクを履いて走った50m走の最高タイムの走動作が新大阪商会製の動作解析ソフトウエアDYNASで解析された.分析の結果,裸足で走る50m走のタイム (p=.011) と走速度 (p=.006) は,靴を履いた50m走よりも速かった.また,裸足のランニングは,靴を履いたランニングよりも脚の振り下ろし速度が速くなることが示唆された (p=.006).