著者
吉本 裕史
出版者
名古屋言語研究会
雑誌
名古屋言語研究 (ISSN:18818072)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.27-38, 2020

本稿は現代語の副詞「ちゃんと」の機能について考察する。従来、「ちゃんと」は様態の副詞として記述されることが多い。しかし、様態の副詞とは異なる「ちゃんと」の機能を指摘する先行論も存在し、「ちゃんと」は多機能語であることが考えられる。そこで、本稿では、先行論が指摘した「ちゃんと」の機能に注目し、統語的条件をもとにI型とII型を設定する。そして、実際の用例をI型とII型に分類し、それぞれの確例について分析する。結論として、先行論がその位置づけを定めていなかったII型を、評価成分に相当するものとして位置づける。また、「ちゃんと」は、様態の副詞と評価の副詞の、連続的な様相を示す副詞であることを述べる。