- 著者
-
佐藤 英晶
- 出版者
- 帯広大谷短期大学
- 雑誌
- 帯広大谷短期大学地域連携推進センター紀要 (ISSN:21889791)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, pp.9-19, 2019-09-30 (Released:2019-12-12)
- 参考文献数
- 13
近年,成年後見制度の利用を希望する人々の増加により申立て件数が過去最高を記録している。そうした中で,親族後見による不正状況も増し,第三者後見の選任は増加してきている。そのため第三者後見を担う成年後見人等が不足してきている実態がある。特に中山間地域の郡部・過疎地において,第三者後見を担える専門職の量的確保が課題となっている。そこで国や最高裁判所は親族後見の支援に乗り出し,成年後見人等の選任の親族後見への回帰を試みている。しかし,少子高齢化や過疎化により親族後見が期待できない利用者も多く,中山間地域では親族後見に頼らない成年後見人等の選任を検討せざるを得ない。そのため,中山間地域の第三者後見の在り方を検討した結果,専門職後見を担う人材の不足する中山間地域では,法人として行う法人後見が有効であると結論付けられた。また,法人後見には様々な運営主体があり,中山間地域にあった法人後見の推進が求められるため,法人後見の運営主体やその特徴から類型化したうえで,中山間地域に適した法人後見の在り方を検討した。そこから明らかになったことは,町村社会福祉協議会による法人後見が公益性や継続性で他の法人後見に比して優位であると結論付けられた。しかし,一方で町村社会福祉協議会は現状では小規模であったり,財源的に体制を整備したり,十分な人員の配置が困難となっている。そこで,町村が中核機関や後見実施機関の設置を町村社会福祉協議会が担うことで財源や人員配置の問題を緩和でき,地域の成年後見人等の確保につながると結論付けられた。