出版者
徳島県果樹試験場
雑誌
徳島県果樹試験場研究報告 (ISSN:03892956)
巻号頁・発行日
no.28, pp.11-23, 2000-03

ユズ幹腐病の発生生態と防除薬剤について検討した。 1.ユズ幹腐病は,県内各産地で確認されたが,那賀郡木頭村,木沢村,上那賀町などの多雨地域で発生が多く,他の地域ではユズ栽培に影響を及ぼすような発生は認められなかった。 2.子のう盤の発生は,4月中旬頃から見られ始め,6月中旬頃ピークとなった。梅雨明け後晴天が続くと萎れてしまった。 3.罹病樹を剥皮し初期の潜伏病斑を調査したところ,2年生枝から主幹を含む6年生以上の枝まで新梢を除く全ての年齢の枝で確認された。 4.本病害発生地と未発生地で育苗した苗木を発生園に定植し,発病状況を調査したところ,2年後の調査では発生地育苗苗木のみに陥没病斑が見られたが,4年後の剥皮調査では両苗木に初期病斑が見られ発生に差はなかった。 5.接種は,有傷,接種後接ぎ木テープ等で被覆し湿度を保つと感染した。無傷でも新梢発生基部へ接種した場合は感染した。 6.培養菌糸の薬剤浸漬試験では,イミノクタジン酢酸塩,イミノクタジンアルベシル酸塩,マンゼブで菌糸伸長阻止効果が認められ,散布試験では,イミノクタジン酢酸塩液剤,ベノミル水和剤の防除効果が高かった。