著者
川満 富裕
出版者
日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会
雑誌
日本ストーマリハビリテーション学会誌 (ISSN:09166440)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.3-10, 2003 (Released:2022-08-31)
参考文献数
31
被引用文献数
1

人工肛門に言及した1903年以前の文献を探し出し、わが国における人工肛門の初期史を考察した。文献は18件みつかった。これによると、人工肛門に関する知識が西洋から日本に伝わった。人工肛門を意味する最古の訳語は1832年に現れた「義肛」で、人工肛門に関する知識は『泰西名医彙講』(1837年)の出版後に深まったと思われる。人工肛門の実際については、はじめて人工肛門が造られたのがいつかは分からないが、遅くとも1892年に造られた記録がある。また、1910年までには数十例の人工肛門造設術が行われたという報告がある。