- 著者
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ディバイン アレクサンドラ
キャロル アリシア
ナイヴァル サイナミリ
セル センミリア
- 出版者
- The Nippon Foundation Paralympic Support Center
- 雑誌
- 日本財団パラリンピックサポートセンターパラリンピック研究会紀要 (ISSN:24326100)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, pp.43-62, 2018 (Released:2019-08-01)
- 参考文献数
- 14
国連の「障害者の権利に関する条約」(CRPD)が採択されてから10年経つ現在でも,引き続き多くの障がい者が,開発のためのスポーツ活動を含め,彼らのコミュニティの社会経済生活や日常生活から排除される経験をしている。スポーツが,開発プロセスおよび個人や集団の健康促進のために寄与できる特有な性質を持っていることは認識されている。ただし,開発のためのスポーツが,障がい者の包摂に役立っているか否か,またそれがどのように役立っているかを示す根拠は,ほとんど存在していない。「障害者の権利に関する条約」は,障がい者のあらゆる人権の完全かつ平等な享受を促進,保護,および確保する国の義務をうたっている。これには,文化的な生活,レクリエーション,余暇およびスポーツ活動への参加(第30条),ならびに国際協力における障がい者の包容(第32条)が含まれる。障がいのある人もない人も共に集うのことのできるポジティブな社会をつくるためのスポーツ・プログラムは,障がい者の能力に対する否定的な思い込みに立ち向かうことによって,より包摂的なコミュニティに貢献するものである。このことは,障がい者が世界の舞台で競うパラリンピックにおいて,とりわけ顕著にみることができる。本稿では,スポーツ開発プログラムにおける障がい者の包摂を効果的に促進する要素に着目する。ここでは,オーストラリア政府の「スポーツを通した開発」戦略に関する2015年の評価をエビデンスとして使用する。これは,オーストラリア・スポーツ・コミッションの太平洋におけるオーストラリア・スポーツ・アウトリーチ・プログラムの管理下で実行された評価である。定性的面接とフォーカス・グループ・ディスカッションのひとつは,障がいのある,またない主催者と参加者,スポーツに参加している障がいのある子どもを持つ家族を対象に行われた。スポーツへの参加が,自尊心,健康,幸福,社会包摂を改善すると報告された。包摂を妨げる主な要因には,偏見,差別,移動時に不可欠なアクセシビリティとスポーツ施設の不足,補助的な器具の不足といった障がい者特有のニーズが含まれる。スポーツ開発において障がいのある人々が最も効果的に包摂されるのは,仲間内での励まし,スポーツ・プログラムの様々な場面における障がい者の意義ある参加とリーダーシップ,社会的かつ競合的な進路が用意されたときである。