- 著者
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山口 倫子
- 出版者
- 神戸親和女子大学福祉臨床学科
- 雑誌
- 神戸親和女子大学福祉臨床学科紀要 = Bulletin of social welfare, Kobe Shinwa Women's University (ISSN:18812414)
- 巻号頁・発行日
- no.13, pp.75-85, 2016-03-31
1998年以降の自殺者数の増加や、精神障害等に係る労災請求件数の増加などから、メンタルヘルス対策が喫緊の課題であった。そこで2014(平成26)年6月に「労働安全衛生法の一部改正」により、ストレスチェック制度が創設された。この制度の目的は、メンタルヘルス不調の一次予防、労働者自身の気付きを促す、職場環境の改善の3点である。制度の概要と流れは、①事前準備、②ストレスチェックの実施、③面接指導の実施、④集団的な分析による職場環境の改善となっている。そこで、精神保健福祉士は一定の条件をクリアすれば検査の実施者となれることが規定された。これは、精神科医療現場における精神保健福祉士の活躍に対する一定の社会的評価であると考えられる。また、この制度に関しても、面接指導への勧奨や職場環境の調整、あるいは専門機関への紹介等の支援など、個別ケースワーク的なかかわりが期待されるため、精神保健福祉士の力が発揮できるのではないかと考える。 昨今、医療現場だけでなく、教育や司法といった分野においても精神保健福祉士が活躍しているが、ストレスチェック制度導入をきっかけに、今後、労働現場におけるメンタルヘルス対策が進み、産業保健分野においても精神保健福祉士に対するさらなる期待と可能性が広がると思われる。