著者
岡﨑 拓
出版者
羽衣国際大学現代社会学会
雑誌
羽衣国際大学現代社会学部研究紀要 = Research bulletin of Faculty of Social Sciences, Hagoromo University of International Studies (ISSN:21865493)
巻号頁・発行日
no.10, pp.55-66, 2021-03

ポーランドは1990年代以降、順調な経済成長を遂げてきた。一方で、西欧諸国との経済水準の差はいまだ大きく、これまでの成長を支えた外資流入と低賃金は、今後の継続性が不透明である。その中で、ポーランド政府は「知識経済」への移行を標榜し、イノベーションの振興を図っている。ただし、現時点でのポーランド経済におけるR&D部門は加盟国内においても低位の水準であり、EU内、中東欧域内両面での「二重の遅れ」の状況にある。この状況に対し、ポーランド政府は知識経済への移行を掲げ、EUレベルのイノベーション政策とリンクする形の国家戦略を策定・実施してきている。現状ではポーランドR&D部門の課題である中小企業やスタートアップ支援の具体策整備が不十分であるなど、実体と政策対応のギャップが存在すると言える。