著者
益子 貴史 徳田 恵一 宮崎 昇 小林 隆夫
出版者
Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-2, 情報・システム. 2, パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J83-D2, no.7, pp.1600-1609, 2000-07-20

隠れマルコフモデル(HMM)に基づいてピッチパターンとスペクトル系列を同時にモデル化及び生成する手法について述べる.ピッチパターンは,連続値をとる有声区間と値をもたない無声区間の時系列として表現されるため,通常のHMMではモデル化することができない.そこで本論文では,多空間上の確率分布に基づくHMM(multi-space probability distribution HMM: MSD-HMM)を適用し,ピッチパラメータとスペクトルパラメータを結合した特徴パラメータを用いてピッチとスペクトルを統一的にモデル化する手法を提案する.また,MSD-HMMにおける決定木に基づくコンテクストクラスタリング手法を導出し,ピッチやスペクトルの変動要因を考慮したモデルの構築手法について述べる.更に,ゆう度最大化基準に基づくパラメータ生成手法を用いることにより,実音声を近似したピッチパターン及びスペクトル系列を生成できることを示す.