著者
伊藤 晶文
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 自然科学編 (ISSN:03896692)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.1-8, 2006-02-28
被引用文献数
3

仙台平野の浜堤列は従来4列に大別されるが,最も海側に位置する第III浜堤列は,さらに細分できる。本研究では,細分した浜堤列の形成時期について,放射性炭素年代測定,テフラおよび史跡の分布状況に基づいて推定した。さらに,浜堤列の分布や形成時期から,歴史時代における海岸線の変化を考察した。第III浜堤列は,陸側から順に,第IIIa浜堤列,第IIIb浜堤列,第IIIc浜堤列に細分され,それぞれの形成開始時期は,約1,300cal.BP,約1,100cal.BPおよび約350cal.BP以前である。歴史時代以降の海岸線の変化には地域差があり,阿武隈川以南の地域において海岸線が顕著に前進した。第IIIa浜堤列形成期には仙台平野全域で海岸線が急速に前進しており,その要因として,流入河川および平野南方からの土砂供給量の増加,もしくは供給される土砂の質の変化が考えられる。